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2017年10月31日 (火)

苦痛よ、私はあなたを憎む

サビーヌ・シコー (1913 - 1928)



苦しむという名誉

伯爵夫人アナ・ドゥ・ノアイユ

苦痛よ、私はあなたを憎む!ああ、どれほどあなたを憎むことか!

痛み、私はあなたを嫌悪する。怖い、あなたの腹黒い見張り、あなたの通り過ぎた後、体と心に残るおののきが恐ろしい。

あなたの後に、時々はあなたに先んじて、言葉では表せないこうした恐ろしい感じを抱く。

細かい歯を持った目に見えない動物がお人好しの私の健康体へやって来てもぐらの様に私の体を掘り返したり、噛んだり、穴を開けたりする ー 空は真っ青、お日様は穏やかに、水は清らかだと言うのに!

ああ、「苦しむという名誉」ですって!

干からびた唇をした苦しみ。人が何と言おうと、どんな仮面を被ろうと、痛み苦しみは醜い。

雷に打たれる様な、又はしつこい、又は両方でもある苦痛。

私はあなたを罪として見なす。輝く果実の中や緑の葉叢の中で、開け放った窓へ合図を送る庭園の中で、いきいきと優しく生きることへの攻撃と見なす。

アヒル達が池へ向かって陽気に走る。

鳩達が町の上、広がりを狂い飛ぶ。

泳ぎ走り吹く風と闘う、

これは私の権利ではないのか、人生がそこにあるのだから。見掛けは単純に.......そう見掛けはね!

ある日、痛み苦しみという名のあなたと出会うと、

身体は打ち負かされ、精神は弛緩する。

或いはあなたと関わったという名誉を信じるか?

そして言うのだ、苦しむのは多分偉大なことだなどと。

偉大だと?誰が確かなものか、それにそれがどうした。

病名が何であれ、重いか軽いかに関わらず、

無垢で強靭なこの私の中に、明るい顔の喜びがもはや存在しないのであれば、偉大だなどと....。

あなたを高めるためにあなたを讃えて、

詩人は自分自身に嘘をついている。.....私はあなたを憎悪する。

あなたは卑怯だ、不公正だ、犯罪者だ、最悪の裏切りにも手を貸す!私は知っている。今後あなたが倦むことなき敵になるのを。今後は、リラの香りの満ちた穏やかな公園に行っても、砂地や気狂い草が生い茂ったりの秘密の小道に行っても、もはやあなたからは逃れられぬ、あなたを忘れられぬ、ということを。

小さなエプロンをつけて可愛い私の無知。

裸足で袖なし上着、帽子無しの無知。

季節を通して汚れの無かった無知の笑い声が響き渡る。

私の無知、それはあなたと関わる以前のもの。

人に何をされたの、あなたは何をしたの、老いた苦しみよ?

私にとって世界の意味を変えてしまう様な事をあなたは許すのですか?

私はあなたが大嫌いだ。湯気で曇った鏡の奥に映るあの金髪の少女、彼女を殺したあなたが.....。

ほかの少女がいまはいる、青白くて、あんなに違ってしまった!

この少女二人の間にいつもあなたを認めることなんてことに、あたしは馴染めないし馴染みたくもない。

不吉の魔王、若い妖精たちがどんなに人助けの力を振るっても無駄。

昔々....昔々....声は哀れにも押し殺された!

声を生き返らせてくれるのは誰?あの泉の声を私に返してくれるのは誰?妖精の中の妖精、どんな病も治してくれるというあの泉。

Sabine Sicaud (1913 - 1928)

Douleur,je vous deteste

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