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2017年9月20日 (水)

話します?

サビーヌ・シコー (1913 - 1928)

話します?いいえ、私はダメ。

草木や、菩提樹に止まって何も言わない鳥の様に、苦しむ方が私には良い。

草木や鳥は待っている。良いことだ。あれらが待ちくたびれずに待っているのだから、私も同じ様に待とう。

草木や鳥は一人で苦しんでいる。一人でどう苦しむか、学ばないといけない。

無関心なくせに微笑みを見せたがる人も、友人の呻き声も私は欲しくない。誰も来ませんように。

植物は何も言わない。鳥は黙っている。何を言ったら良いの?この痛みは何と言おうと、世界で唯一つのもの、他人の痛みではない、私の痛みだ。

葉っぱが一枚病んでいても他の葉っぱは気付かない。鳥が一羽病気でも他の鳥には解らない。

知らない、知らない。誰と通じ合えるのか?

人間お互い通じ合えるのかどうか、でもどうでも良いことだ。中身のない言葉など今晩は聞きたくない。

私は待っています。ちょうど窓越しに見える動かない老木や鳴かないパンソン鳥がそうしている様に。

清らかな水の一滴、風が少し、誰に分かるのかしら?木や鳥は何を待っているのかしら?私たち皆んなで一緒に待ちましょう。

彼は来るだろうと太陽が言った、多分.......。

注:パンソン鳥;渡り鳥だそうです。

Sabine Sicaud (1913 - 1928)

Vous parlez?

サビーヌの家庭環境は恵まれたものでした。父親は弁護士で社会主義運動の闘士であり、フランス社会党党首ジャン・ジョレスの友人でした。母親はジャーナリストで作家という文芸一家でした。住まいは広い庭を持ち、サビーヌが広大な庭に建つ我が家を『孤独(solitude)』と名付けていたほど、自然の中の生活でした。お金持ちの文化人が社会主義にのめり込んで貧乏人、労働者のために闘うという図式は世界中に多いですね。そんな裕福な一家でした。

受賞歴

1924年 11歳「銀のジャスミン Jasmin d'argent」コンクール第2席

1925年 12歳「ジュー・フローラル・ド・フランス Jeux Floraux de France」グランプリ

作品集

1926年 13歳『子供の詩 Poemes d'enfant』

1956年 没後『サビーヌシコー詩集 Poemes de Sabine Sicaud』

パリで文藝サロンを主宰し彼女自身詩人でもあったノアイユ伯爵夫人アナ・ド・ノアイユにとって、サビーヌの詩は衝撃でした。詩集『子供の詩』にノアイユ伯爵夫人は序文を書いています。子供詩人の事物を見る眼差しの正確さ、更に子供の持つ成熟の度合いに驚嘆しました。言葉の選択は正確精密であり技法豊かと評価しています。自然観察の鋭さと簡潔な表現にも触れています。後の作品になると成熟の度合いは益々深まりノスタルジーに彩られても来ます。

最後の数ヶ月の作品は病気と苦痛が主題になります。

仏文学史の上でもユニークなケースでしょう。

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