« 2017年3月 | トップページ | 2017年6月 »

2017年4月

2017年4月30日 (日)

パリは二層甲板ガレー船

シャルル・ペギー (1873 - 1914)

ポワン・デュ・ジュールからレバノン杉の木立まで

二層ガレー船が停泊している。グラン・バザールや、官庁の大建築、陰鬱なアルカザールに沿い、

諸個人の生き死にや国家の品格を貫流して。

八十三代の国王、三代の共和制に仕え、

それにナポレオンやアレクサンダー、シーザーに仕え、

我らの父祖はあまたの時化に立ち向かい、

斜めの櫂をとり、忠実に身を挺してきた。

今我らは父祖と同じ樫の長椅子に座し

腰と首と魂を以て櫂を漕ぐ。

樫材のもと、身を屈め、傷を負い、血を流し瀕死になろうとも。

我らの櫂への打撃を持ちこたえ

苦役囚の倅、ガレー船の漕ぎ手として我らは、

セーヌの両岸、ノートルダム寺院の足元に横たわる。

Charles Peguy (1873 - 1914)

Paris double galere

著者はカトリックの詩人で愛国者でした。第一次大戦が勃発すると志願従軍、大戦劈頭のマルヌ川会戦で戦死します。ポワン・デュ・ジュールは15区に在りエッフェル塔の少し下、レバノン杉の木立が有るのは植物園でここはシテ島より上の5区です。

愛国の詩篇を馬鹿にする人がいますが私は好きです。祖国や同胞愛といった言葉がいずれ価値を取り戻すだろうと考えています。大木惇夫の「戦友別杯の歌」など声に出して読むと良いですね。日本と同様フランスにも愛国詩は有ります。むしろ仏独英など欧州の方が本場でしょう。

ペギーは祖国フランスに代々血を以て尽くしてきた先祖をガレー船の漕ぎ手に例え、想像のガレー船をセーヌ川に見ます。伝統を受け継ぐ歴史意識を重視した、往年の武勇の国フランスに相応しい堂々とした詩だと思います。この他にもセーヌに想像力で軍船を描いた詩を作っています。「パリは突撃艦」「パリは戦さ船」。

« 2017年3月 | トップページ | 2017年6月 »