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2017年2月25日 (土)

支えはバラ一本だけ

ヒルデ・ドーミン   (1909 - 2006)

空中に部屋をこしらえます

曲芸師と鳥たちのもとに。

私のベッドは感情の台形の上

枝の先端にあって

風に吹かれる鳥の巣みたい。

優しく刈り取られた羊の、

手触り柔らかな毛でできた

毛布を一枚買います。月光に

照らされた雲が、大地を超えて

伸びてくる、そんなウール。

目を閉じて羊毛の房にくるまる。

小さいひづめの下にある

砂を感じとりたい。

そして家畜小屋の戸を夜閉める

かんぬきのカチリという音が聞きたい。

でも私は鳥の羽に身を包み

空中高く横たわり揺れる身だから

目眩がする。眠れない。

私の手が何か支えを探して伸びるが

見つけた支えはバラ一本だけ

Nur eine Rose als Stuetz

Hilde Domin (1909 - 2006)

『ドイツ名詩100選』より。女流詩人。この詩や他の作品などから推すと易しい文体の庶民派とでも言えるのでしょうか。

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