« 11月の公園 | トップページ | 踊り子 »

2016年12月 9日 (金)

こんなに君が好きだった

ヨアヒム・リンゲルナッツ (1883 - 1994)

こんなに君が好きだった!

何のためらいも無く君に

僕のストーブのタイルを一枚

贈り物した事だろう。

君に打ち明けられなかった。

勇気の不足が今は悲しい。

線路の土手に

エニシダが堂々と咲いている。

過ぎた事 - 何年も前だ -

でも決して忘れられない事。

僕は旅をする。

長く続くものは何であれ

小声だ。

時間はあらゆる生き物を

変形する。

犬は吠える。

犬は読めない

犬は書けない

僕等は留まれない。

僕は笑う。

重要なのは

茶漉しの網に

あいた穴だ

こんなに君が好きだった!

Ich habe dich so lieb

Joachim Ringelnatz (1883 - 1994)

ワイマール共和国時代ベルリンで軽演劇(キャバレー)・風刺劇作家、詩人、左翼系ジャーナリストとして活躍。1933年にナチス政権により舞台出場禁止処分を受け翌年病死。

仕出かしてしまった後悔より、しなかった事の後悔の方が後を引くと言いますが、好きな女性に打ち明けられなかった痛みは癒えません。

茶漉し網は記憶が薄れてゆく例えによく使われます。ベルリンの石炭ストーブは大型レンガ状に成型した褐炭をゆっくり燃焼させます。部屋の隅にしつらえてあり、家具と見まごうほど立派な、絵柄タイルを張った角柱です。

« 11月の公園 | トップページ | 踊り子 »

ドイツ詩」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/566114/64602623

この記事へのトラックバック一覧です: こんなに君が好きだった:

« 11月の公園 | トップページ | 踊り子 »