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2016年10月20日 (木)

大都会の目

クルト・トゥホルスキー

朝早く

君が出勤する時、

心配事を抱えて

ホームに立っている時。

そんな時都会は君に

数百万人の人間漏斗の中の君に

アスファルトみたいに滑らかに

二つの見知らぬ目を向ける、一瞥、

眉毛、瞳、まぶた --

何だったのか?もしかして君の生涯の幸運

過ぎてしまった、風に吹かれて、二度と無い。

君は一生のうちに

何千という道を通る。

歩いている道で

君の事を忘れてしまった

あの目を見る

片目が合図する

魂が響く

君は見つけた

ただ数秒だけ

二つの見知らぬ目、一瞥、

眉毛、瞳、まぶた --

何だったのか?誰も時間を戻せはしない.....

過ぎてしまった、風に吹かれて、二度と無い。

君は徒歩で

街々を歩き回る事が有るだろう。

一瞬の間

見知らぬ他人を見る。

敵かもしれない

友かもしれない

闘争中の

同志かもしれない

向こう側に見える

そして立ち去って行く.....

二つの見知らぬ目、一瞥、

眉毛、瞳、まぶた --

何だったのか?

膨大な人数の中の単なる一個!

過ぎてしまった、風に吹かれて、二度と無い。

Kurt TUCHOLSKY (1890 - 1935)

Augen in der Gross-Stadt

ワイマール共和国時代のベルリンを代表するジャーナリスト、著述家。左翼平和主義者、社民党員として多方面で活躍。作家が社会批評をするというハイネの伝統を受け継いだ。現在でもベルリン市民や左派知識人には人気がある。

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