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2016年9月 7日 (水)

真夜中近く

エドワルト・メーリケ

ゆったりと夜が野原に立ち上る、

山の端に壁が夢心地もたれかかる。

夜の目は今や黄金の天秤のはかりを見つめている

時を静かに皿に載せた秤だ。

泉は陽気に声を上げ

母親の、夜の、耳元で

今日という日を

今日であった昨日について歌う。

古くて古いまどろみの歌など、

夜は気にしない、うんざりしているのだ。

夜には空の青みの方が甘やかに響く、

同期して波打つくびきの、逃れ去る時間。

だが泉は相も変らず声を上げ

眠りの中でも水は

今日という日を

今日であった昨日について歌い続ける。

Um Mitternacht

Eduard Moerike 1804 - 1875

メーリケの短編『旅の日のモーツァルト』なら読まれた方も多いのではありませんか。

夜をまず擬人化し、次いで光と闇の日々の抗争を天秤ばかりの揺らぎに例え、泉の水音で聴覚を刺激しながら流れ去る時を水流で現して、みごとな作だと思います。

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