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2016年5月

2016年5月17日 (火)

ハンモック

レイモン・ラディゲ (1903 - 1923)

ハンモック

空の底、海のではない。

自分で広げた網に捕らえられた

裸の君を天国に、捧げたことを根に持って、

理解できない理由から

もし僕を恨んでいるのなら、空気の精よ。

飾肩帯を借りには行くな

群青のこの草の四月に

魚たちよ、春の先触れ

かつてはツバメがそうだった様に

無害な心がしまってある

僕の穂束を軽蔑して君の足は

優雅に空を揺する

つまり湖の底の眠りは

ハンモックの眠りの様に心騒ぐのだから。

Raymond Radiguet (1903 - 1923)

Le Hamac

2016年5月 5日 (木)

小さな幸せ

レイモン・ラディゲ (1903 - 1923)

小さな幸せ

ゼロ以下

顔は唖

君がさよならをもう言えなくなって良かった

麗しい季節は余所にあり僕はもう君の不在に慣れた

僕らがまぐれ遊びを始めたので

テーブルに継ぎ板が必要になった

良識は有ったのだけれど

それは年で一番日の短い日だった

色々な名前

もっと素敵な他の名前

無益に僕は暦を摘んでゆく

待ち望むお祭り全てのために

更にもう一年では短すぎる

Raymond Radiguet (1903 - 1923)

Au petit bonheur

ラディゲは傑作小説を二編残して夭折しました。『肉体の悪魔』と『ドルジェル伯の舞踏会』です。卒論にラディゲを選ぶ学生が多かったのは、勿論作品の魅力も有りますが、作品数が少なく全作品を読み通すのが簡単だったからなのも一因ではないかと思えてなりません。これが多作家のバルザックなどを選びますと、訳本を読むだけで一仕事になりますから。

ラディゲの詩、若々しくて良いですね。

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